あれほど冬が待ち遠しい、と言っていたのに
いざ部屋の温度が下がってくると
その事実がとても怖いと思った。
吐いても吐いても、
煙草のにおいが口から消えない。

純粋すぎる、不器用さ。別の時代だったらよかったのに。

一人で立っていられるほど強かったらいいのに。
生き別れの双子に出会ってしまったような感覚、
なんて知ることがなければよかったのに。
そうだったならずっと一人でよくがんばってきたね、って
ただただ抱きしめてもらいたいなんて願望は
はじめから生まれることはなかった。

今を認めてもらえないなら。私のすべては過去を支えてほしいということ、
ただそれだけだ。友情ごっこも中途半端に大事と言われることも、
そんなもの暖めてもらえない限りはじめからないほうが期待しなくて楽。
一人ですたすた行ってしまった夜は
夜の渋谷に置いてけぼりされた日を思い出すに十分だった。
そこまで追い詰めたのは自分のせいだと
これっぽっちも思わない私はきっとどこか欠落してるんだろう。
またねと言われて手を差し出された気がするけれど
受け止められるほどよくできた子じゃない。
何がいいとかわかんないし傷つけたいと思ってそうする奴はあんまりいないかな。
他にどうしようもないから。
こんな思いをしてまで大事にしようとしていた自分に呆れる。
唯一のありんこだったらいいのに。
塩のぽっとに飛び込んで縮んじゃいたい。きえちゃって殻だけ残ればいいのに。その世界から。
大事な人がたくさんいるなら、一匹くらいいいでしょ。