このあいだ、
お茶をしに、
わざわざ会いに来てくださった。
職場を去ったらもう会えない人だと私は勝手に思っていたので
お疲れだろうのに、
時間をつくってもらえてちょっとびっくりした。
でもよく思い出してみたら、育ちも実家も、年もちかいその人

むかしは金魚鉢みたいなガラス張りの狭い職場で
同年代の男の子とはなしをして、
感情が動く自分が嫌だった
感情が動いても、ちいさな金魚鉢のなかなので
女の子としてのそれ以上の感情も、
それ以上の自分も、出せないのだ

父母、祖父母、もっと前から
いろんなものを継いできた自分
なにかふくよかで豊かなものも。
あの場所でじぶんを曝け出したらきっと、
科学しか信じないひとたちから魔女狩りにあってしまう
という恐怖があった
一日8時間、自分を押し殺すなかで、
退職間際、時々一緒に窓際でお昼を食べてくれた

いまは金魚鉢から飛び出したので、
隔てていたガラスはなくなった
彼はその分だけ緊張していた
抹茶をごちそうしてもらった。ぶどうのお茶をもらった。
巫女なじぶんの話をしたら広島の話をしてくれた
人に甘える
ああ、たのしかった
次はミスドがいいな