イスタンブールにいる。

自慢じゃないけれど、わたしは紙の地図が読めない。

ちょっとびっくりするほど読めない。

わたしが最近旅行できているのは

旧ソ連圏の町が計画的につくられており、

どの町も道路がまっすぐで、

どの町も道路名が似たようなもので覚えやすく(「レーニン通り」とか)、

道路名は建物に必ず表示してあって、

そしてルートと、乗るべきバスやトロリーバスの番号、所要時間、そして自分の現在位置、建物の入り口までをも一発で表示してくれる地図アプリのおかげだから。

ロシアの地図アプリはすごくて、ロシアのあらゆる都市を網羅している。

そういうわけで、地図の読めない私は、今日は

イスタンブールで紙の地図を片手に、寒くて寒くて、

彷徨っていた。

ほんとうに紙の地図が読めないし縮尺がわからないし、

どっちが北かどうかもよくわからない。

ここは北半球で、夕日があっちだから、北はだいたいあっちかな、

ということをさっき、人生ではじめて認識した。

今日はモスクを三つ見ようと思ったのだけれど、

道が入り組みすぎていて、雨がふっていて、

かつ滑る靴をはいていて、入り口がわからなくて、彷徨って、

結局1か所しか行けなかった。

目的地は雑踏のなかだった。

やっとたどり着いて、見学をすませ、

帰路、駅に向かう。

夕方、連れと待ち合わせをしていたのでおくれるわけにはいかなかった。

でも道はくねくねしていて、

どっちが北かも、わからない。

どうしよう。

待ち合わせ時間は迫る。

携帯のGPS機能でどこに居るか確認するけれど、

そもそも最近できたばかりの駅で、

手元の紙の地図はもちろん、スマートフォンの地図にも、目的の駅名が表示されていない。

ふと顔をあげたら、若者たちが、同じ方向に、歩いていた。

リュックサックを背負っていたり、ノートを手に抱えている。

近くに大学があったはず。

そうか、授業の終わった学生が、帰るところなんだ。

顔をあげて、若い人たちの人の波についていった。

あっという間に、駅についた。

そして待ち合わせに、間に合った。

モスクはちょうどお祈りの時間で、祈っているひとたちが、いっぱいいた。

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